泊発電所における中長期対策等の進捗状況と安全対策の充実について |
2012年12月3日
泊発電所における定期点検中等の冷温停止状態及び燃料交換においては、これまで非常用ディーゼル発電機は号機ごとに1台が使用可能であれば良いとしておりましたが、今回、全ての燃料が原子炉格納容器外にある場合を含め2台に変更します。ついては、定期検査時に非常用ディーゼル発電機の点検作業によって1台になる場合があることから、複数号機間で共用することができる非常用発電機の設置について検討を進めてまいります。
なお、新たな非常用発電機の設置までは、他号機の非常用ディーゼル発電機または移動発電機車を非常用発電機として運用いたします。
原子炉格納容器内の気体を大気に放出する原子炉格納容器フィルタ付ベント設備の設置に向けた技術的な検討を行っていきます。
発電所内水源の信頼性向上対策である、発電所後背地高台への新規貯水設備は平成26年度を目途に設置します。
更なる安全性向上対策として、新規に免震重要棟を泊発電所の高台後背地に平成27年度の完成を目途に建設します。また、防潮堤の高さを海抜16.5mに決定しました。
「防潮堤の設置」について、詳細な設計および工事計画が確定し、工事実施に必要な準備等が整ったことから、8月22日から工事を開始しました。
安全対策の充実について、以下を、本年11月末を目途に実施することとしました。
- (1)万一、浸水対策範囲を超える高さの津波が来襲し、タービン動補助給水ポンプの機能が喪失した場合等においても、炉心燃料の冷却が可能となるよう、蒸気発生器へ直接給水するためのポンプを原子炉建屋内(海抜31.0m)に設置します。
- (2)万一、炉心冷却手段が全く無くなった場合に備え、直接炉心に注水する手段を整備します。
- (3)緊急安全対策の遂行上必須の設備である分電盤、中央制御盤が設置されているエリアについて、海抜20.0mを目標に扉や床・壁貫通部の浸水対策を実施します。また、タービン動補助給水ポンプ室に対しては、更に海抜24.8m以上を目標に浸水対策を強化します。
当社は、泊発電所の緊急安全対策に加え、たゆまぬ取り組みとして中長期的な対策と安全対策の充実を計画的に進めております。
これらの至近の進捗状況をお知らせします。
1.泊発電所1・2号機安全対策の充実について
以下の対策について、11月30日までに実施しました。
- (1)炉心燃料冷却手段の多様化
- [1] 蒸気発生器直接給水ポンプの設置
万一、浸水対策範囲を超える高さの津波が来襲し、タービン動補助給水ポンプの機能が喪失した場合等においても、炉心燃料の冷却が可能となるよう、蒸気発生器へ直接給水する免震構造・電動駆動のポンプを原子炉建屋内に設置しました。ポンプの電源については、全交流電源喪失時でも駆動できるよう専用発電機を設置しました。
ポンプの水源としては、補助給水タンクもしくは屋外給水タンクを使用します。
また、全交流電源喪失時でも蒸気発生器水位などの監視を可能とする信号計測盤※を原子炉補助建屋内に設置しました。これらの対策により、海抜31m以上にある設備のみで蒸気発生器による炉心燃料の冷却が可能となりました。
※信号計測盤
現場で水位や圧力などを計測する計器からの信号を計測するためにケーブルや測定用の端子台を収納している盤。信号はハンディータイプの可搬型測定器で計測し監視を行う。
また、計測に必要となる電源は可搬型測定器より供給できることから全交流電源喪失時でも計測可能となっている。
- [2] 炉心への直接注入手段の整備
万一、炉心燃料の冷却手段が全く無くなった場合に備え、直接炉心に注入する手段を整備しました。なお、炉心への注入は、発電所に配備済みの消防車または送水ポンプ車を使用します。
- [1] 蒸気発生器直接給水ポンプの設置
- (2) 緊急安全対策設備の浸水対策の強化
緊急安全対策の遂行上必須の設備である分電盤、中央制御盤が設置されているエリアについて、海抜20.0mまでの扉や床・壁貫通部の浸水対策を実施しました。
また、タービン動補助給水ポンプ室に対しては、更に海抜24.8mまでの浸水対策を実施しました。
2.土地造成工事実施状況
電源確保の中長期対策として予定している“非常用発電機の高台への配備”や“予備変圧器等の高台への移設”に先立ち、必要な設置スペースを確保するために、高台の土地造成を実施しています。また、新たに、事故時の防災拠点として免震構造で放射線防護機能を有した免震重要棟を平成27年度目途に設置することとしており、今後の設計等の検討に必要な情報を得るため、11月20日から地質調査を開始しました。
3.今後の取り組み予定
防潮堤の設置工事(8月22日本格工事開始、平成26年12月完成目途)、発電所後背地高台への新規貯水設備(平成26年度完成目途)、水素爆発防止対策(水素濃度の低減)(平成25年度完成目途)、免震重要棟(平成27年度完成目途)などについても設計、施工等を進めています。
今後も引き続き、今回の事故に至った原因や経緯についての情報収集に努めるとともに、必要に応じて適切な対策を実施し、泊発電所の安全確保に万全を期していきます。
【参考資料】
1.泊発電所における中長期対策等のスケジュール [PDF:22KB]
2.泊発電所における中長期対策等の実施状況(1/2、2/2) [PDF:858KB]
3.泊発電所における中長期対策等に係る土地造成工事等実施状況 [PDF:360KB]