泊発電所の耐震安全性評価における対応について |
2012年8月24日
当社は、平成24年7月3日の地震・津波に関する意見聴取会において原子力安全・保安院から示された、敷地内の断層に関する現状の評価をあらためて整理するとの方針に基づき、平成24年7月17日の地震・津波に関する意見聴取会において、泊発電所敷地内の断層評価について、以下の内容を説明しました。
- これまでに実施した地形調査によると、泊発電所の敷地には新しい時代の活動を示唆する変位地形は認められない。
- 泊発電所敷地内には、泊1,2号炉設置許可申請時および泊3号炉設置変更許可申請時に、ボーリング調査、試掘坑調査等を行った結果、11条の断層が認められるが、開削調査等を実施した結果、後期更新世以降の活動が認められず、耐震設計上考慮する断層ではないと評価している。
当社は、平成24年7月17日の意見聴取会における以下の指摘事項に関し、本日開催の意見聴取会において説明し了承されました。
これらの指摘事項は、当社の断層評価に係る地質情報の提示に関して、幾つかの点で充実、整理を求める主旨のものであり、その内容および今回の意見聴取会で説明した要旨は以下のとおりです。
- (1)泊発電所建設に伴い土地を改変する前の地形に基づいた地形分類図を示すこと。
⇒改変前の地形に基づいた地形分類図を示し、敷地内には高位段丘面が認められ、変位地形は認められないことを説明。 - (2)敷地に分布する段丘堆積物が高位段丘堆積物※1~2である根拠について説明すること。
⇒敷地内で推定される段丘のうち、標高60m及び標高40m付近では段丘堆積物が確認され、段丘堆積物を覆う地層の年代値および泊発電所敷地周辺の高位段丘との対比から、これらの段丘は高位段丘と判断されることを説明。 - (3)F-11断層については開削調査のスケッチの周辺の地質情報も示すこと。
⇒F-11断層の開削調査のスケッチ箇所の写真、周辺部のスケッチ等を示し、F-11断層は高位段丘堆積物に変位・変形を与えていないことを説明。 - (4)断層の連続性評価※3について説明すること。
⇒試掘坑調査結果、ボーリング調査結果等を基に、断層の走向・傾斜、地層との関係等を考慮して断層の連続性評価を行っていることを説明。 - (5)破砕帯幅の定義を示すこと。
⇒断層の破砕幅は、破砕部(地層が破砕されている部分)と粘土部(地層が粘土化している部分)が想定される範囲としていることを説明。 - (6)F-1断層の走向・傾斜について説明すること。
⇒F-1断層について試掘坑調査および開削調査における走向・傾斜を示し、大局的には北-南の走向で、50°程度西傾斜した断層と推定していることを説明。 - (7)F-3断層の活動性評価に関する表現を適正化すること。
⇒F-3断層の活動性評価を変えるものではないが、詳細に記載することにより表現を適正化したことを説明。
なお、今回の意見聴取会での対応は、7月17日の意見聴取会で説明した内容に関連する地質情報を追加提示して説明したものであり、泊発電所の敷地内に認められる11条の断層は、後期更新世以降※4の活動が認められず、耐震設計上考慮する断層ではないとの当社の評価を変更するものではありません。
当社は、引き続き、耐震安全性評価に関する審議に適切に対応してまいります。
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※1:
段丘
過去の海水面が高い時代に堆積または侵食により形成された平坦面が、海水面の下降および陸の隆起により、現在、陸に階段状の平地として残っている地形。 -
※2:
高位段丘堆積物
段丘は一般に標高が高い段丘面ほど古い時代に形成されたものであり、高い方から低い方に、高位段丘、中位段丘、低位段丘と呼ぶ。泊発電所敷地内には、約20万年前以前に形成された高位段丘が複数段分布する。高位段丘堆積物は、高位段丘を構成する堆積物であり、後期更新世よりも古い時代の堆積物であることから、敷地内の断層の活動性評価における指標の一つとなっている。 -
※3:
断層の連続性評価
断層が同一のものとしてどこの位置に連続しているかをボーリング調査結果等により評価すること。 -
※4:
後期更新世以降
約12万~13万年前以降。「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」では、耐震設計上考慮する活断層について、「後期更新世以降の活動が否定できないもの」としている。