石炭灰について
石炭灰のできるしくみ
石炭火力発電所では、微粉砕した石炭をボイラで燃焼させ、そのエネルギーを電気に変えています。この燃焼で発生した石炭灰は、採取される設備で大きく2種類に分かれます。ボイラにおいて石炭を燃焼させ、その灰の粒子が溶融固化し、ボイラ底部に落下した塊状の多孔質な灰をクリンカ、また、燃焼ガスとともに浮遊する灰を電気式集じん器で集めた細かな球状の粒子をフライアッシュといい、約1:9の割合で発生します。
フライアッシュ
石炭の燃焼により発生した灰の粒子は、高温の燃焼ガス中を浮遊し電気集じん器で集められます。この集められた球形粒子状のものを、フライアッシュといいます。
化学的性質
主成分がシリカとアルミナであり、セメントの水和反応で生成する水酸化カルシウムとポゾラン反応を起こすことなどにより、長期的に密実な構造が形成されます。
物理的性質
フライアッシュは微細粒子で球形をしているため、フライアッシュを混合したコンクリートやモルタルは流動性が増大します。


特徴
コンクリート混和材として用いた場合に次のような特徴が現れます。
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流動性の向上
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水和熱の低減
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アルカリ骨材反応の抑制
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長期強度の向上
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水密性の向上
SiO2(%) | 51.1~64.4 |
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Al2O3(%) | 19.4~27.9 |
Fe2O3(%) | 3.5~8.0 |
CaO(%) | 1.3~6.2 |
MgO(%) | 0.6~1.6 |
SO3(%) | 0.0~2.1 |
pH | 8.1~12.8 |
強熱減量(%) | 0.9~2.1 |
密度(g/cm3) | 2.18~2.32 | |
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湿分(%) | 0.01~0.11 | |
粒度 | 砂分(%) | 3.5~7.5 |
シルト分(%) | 77.6~90.2 | |
粘土分(%) | 4.6~16.7 | |
50%粒径(mm) | 0.01~0.03 |
各データの範囲は平均値±標準偏差を示す。
クリンカ
ボイラ内での燃焼によって生じた灰の粒子が溶融固化し、ボイラ底部に落下した多孔質な灰の塊を粉砕したものをクリンカといいます。
化学的性質
クリンカは赤熱状態でボイラ底部に落下した石炭灰を粉砕機で粉砕、粒度調整したもので、化学的に安定しています。
物理的性質
クリンカの粒子は細礫と粗砂を中心とした締め固め性能の高い砂と同じ粒度分布をしています。
また清浄な砂、砂礫と同程度の透水性を有しています。


特徴
孔隙構造となっていますので、締固めに対して支持力を示すCBR値が安定しており、排水性、通気性が良く保水性に優れています。
SiO2(%) | 52.0~64.9 |
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Al2O3(%) | 17.9~24.7 |
Fe2O3(%) | 4.9~9.6 |
CaO(%) | 2.1~7.1 |
MgO(%) | 0.7~1.6 |
SO3(%) | 0.0~1.3 |
pH | 8.3~9.7 |
密度(g/cm3) | 2.20~2.40 | |
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粒度 | 礫分(%) | 26.5~50.1 |
砂分(%) | 39.8~56.9 | |
シルト分(%) | 5.3~18.0 | |
粘土分(%) | 0.0~3.7 | |
50%粒径(mm) | 0.42~2.19 |
締固め(A-c法) | 最大乾燥密度 | g/cm3 | 0.947~1.243 |
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最適含水比 | % | 23.2~48.0 | |
間隙比 | 0.9~1.4 | ||
飽和度 | % | 55.9~87.9 | |
三軸圧縮強度(CD) | 粘着力C | kN/m2 | 16.9~70.4 |
内部摩擦角φ | 度 | 34.0~38.6 | |
透水係数(定水位) | cm/s | 4×10-4~2×10-2 | |
修正CBR | 締固め度90% | 18.3~36.8 | |
締固め度95% | 20.4~51.1 | ||
凍上試験 | 凍上率 | % | 0.2~0.3 |
各データの範囲は平均値±標準偏差を示す。
石炭灰の生成フロー
【苫東厚真発電所4号機の場合】
