プレスリリース 2020年度 寒冷地対応型の新たな植物工場モデルの実証試験について |
2021年3月25日
北海道電力株式会社
農業生産法人 株式会社輝楽里
北海道電力株式会社(以下、北海道電力)と農業生産法人株式会社輝楽里(きらり)およびその関連会社である有限会社江別ヤマト種苗(以下、輝楽里グループ)は、北海道の基幹産業である農業への貢献を目的に、寒冷地に対応する新たな植物工場モデルの実証試験を開始しましたので、お知らせします。
北海道の農業は、少子高齢化のほか、収入の不安定さや労働環境などの理由から、この30年間で就業者の激減や高齢化が進み、担い手不足という大きな課題を抱えています。
こうした課題を解決し、北海道の農業振興に貢献する方策のひとつとして、通年で計画的な生産・収穫が可能で、従来の露地栽培に比べて働く方の負担が少ない完全人工光型の植物工場※1に着目しました。
完全人工光型の植物工場は、LEDの低価格化や栽培技術の向上により、大規模工場を中心に採算の取れるケースが増えています。一方で、高額な設備投資など、普及には高いハードルがあります。
今回の実証試験では、様々なコスト削減の工夫や作物の高付加価値化などにより小規模からでも採算性を確保でき、導入したい規模に応じて柔軟に設計が可能な植物工場のモデルを構築するとともに、これを活用した新たなビジネスモデルの創出を目指します。
<実証項目>
- 寒冷地に対応した植物工場の最適設計手法の確立・採算性の検証
- 品質や収量の安定化、品目拡大など栽培作物の付加価値向上
- デジタル技術の活用による栽培管理のスマート化
- 小~中規模の植物工場を活用した新たなビジネスモデルの創出
期間は2021年2月から2023年3月までの約2年間を予定しています。
北海道電力は、これまでの電気事業で培った寒冷地向けヒートポンプやZEB※2に関する知見、「ポテライト※3」の開発などで蓄積したLED利用技術を用いて、主に栽培環境(温度・湿度・気流など)を低コストで最適化する空調制御手法の確立および栽培用LEDの最適化による品質安定化や生産性向上の検討を行います。
輝楽里グループは、施設の設計・設置に加え、生産者の知見を活かして実践的な栽培データを蓄積し、高品質で安定した生産手法の確立やイチゴなど高付加価値作物の栽培技術の確立を行います。
北海道電力と輝楽里グループは、北海道の基幹産業である農業のさらなる発展に向けて、地域と共に新たな価値を創る“共創”の取り組みを進めてまいります。
- ※1:植物工場とは、閉鎖空間で光や温度、湿度、二酸化炭素、養分、水分等の栽培環境を人工的に制御することにより、1年中、季節や気候を問わず農産物を収穫できる施設。
太陽光を取り込まずLEDなどの照明を用いるものを完全人工光型の植物工場という。 - ※2:国の省エネルギー基準よりも50%以上の省エネルギーを図るとともに、さらに、太陽光発電などのエネルギーによって、年間に消費するエネルギー量を大幅に削減する、業務用の建築物。
- ※3:北海道電力が、昭和電工および道内企業の協力を得て開発したジャガイモの緑化防止用照明装置の商標。ジャガイモは、光が当たると緑化し、食中毒の原因物質が生成されるため、貯蔵庫内の作業環境改善を目的に、光を当てても緑化しないLED照明を開発した。
【参考】各事業者について
北海道電力株式会社
- 代表者:代表取締役社長 藤井 裕
- 所在地:札幌市中央区大通東1丁目2番地
- 事業内容:電気事業、ガス供給事業 など
農業生産法人株式会社輝楽里
- 代表者:代表取締役社長 高橋 正行
- 所在地:江別市美原225
- 事業内容:農畜産物の生産、貯蔵、運搬、販売 など
有限会社江別ヤマト種苗
- 代表者:代表取締役社長 藤城 正興
- 所在地:江別市美原1441
- 事業内容:種子および苗の販売、農業資材の販売 など
【添付資料】
- PDFファイルを開きます。寒冷地対応型の新たな植物工場モデルの実証試験について [PDF:689KB]